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なぜ冬は乾燥するのか?

約384日前 2020年11月7日16:50
疑問解決
科学

改訂履歴


2020/11/7 投稿

なぜ冬は乾燥するのか?


秋も過ぎ、寒くなってくると気になるのが「乾燥」ですよね。
部屋が乾燥すると喉を傷めてしまう為、冬場の加湿器は必須です。

冬に乾燥するのは当たり前と思っていましたが、
でもなぜ?と聞かれると分からなかった為、調べてみました。

1. 乾燥すると・・・


乾燥してくると喉が痛くなりますよね?
本来は口から侵入したウィルスや細菌は喉の粘膜で捉えて排出するのですが、
乾燥するとその機能が低下し風邪にかかりやすくなってしまいます!

また、肌のカサカサも気になると思います。
保湿クリームが手放せませんよね。

下記サイトによると肌にとって適切な湿度は65%~75%とのことです。
8割以上の女性が「乾燥を感じる」

株式会社ドクターシーラボ

これを下回ると乾燥が気になり始めるかもしれません。

2. なぜ冬場に乾燥するのか


理由は2つあります。
1つ目は暖房の影響。
2つ目は大気中の水分量の影響です。

2.1 - 暖房の影響


部屋を暖房で温めると、だんだんと乾燥します。
この理由は飽和水蒸気量という考え方で説明ができます。
(中学生で習ったはずです!)

空気中にはある量の水蒸気が含まれています。
(目には見えませんが・・・)
空気が含むことのできる水蒸気量は、その空気の温度によって変わります。
ある温度で空気が含める水蒸気量の最大値を「飽和水蒸気量」と呼びます。

気温●℃のときの飽和水蒸気量が知りたい!という方は
下記計算サイトで求めることができます。

飽和水蒸気量計算

適当に温度ごとにプロットしてみました。


温度が上がるにつれ、非線形に飽和水蒸気量も増えていきます。
暖房で温めると乾燥する理由がここにあります。

朝起きて部屋の温度が5℃だったとしましょう。
寒いのであなたは暖房をつけて部屋の温度を20℃まで上げました。
暖房をつける前の部屋の湿度は70%(肌にとって適切)だっとします。

室温5℃のときの飽和水蒸気量は6.8g/m^3ですので、
湿度70%だと6.8g/m^3 × 70% ÷ 100 = 4.76g/m^3の水蒸気が部屋に含まれているということになります。

さて、温度を20℃まで上げたとしましょう。
室温20℃のときの飽和水蒸気量は17.3g/m^3です。
部屋の空気が含むことのできる水蒸気量の上限が6.8 → 17.3に増えました!

ですが、部屋に含まれている水蒸気量は4.76g/m^3のままです・・・。
つまり、温度を上げた部屋の湿度は
4.76g/m^3 ÷ 17.3g/m^3 × 100 = 27.5%
たったの27.5%です!

部屋を暖める前はお肌にちょうど良い湿度70%だったのに、
部屋を暖めただけで一気に27.5%まで乾燥してしまいました。

暖房で乾燥する理由がよく分かったと思います。
暖房をつける際は、必ず加湿するようにしましょうね。

2.2 - 大気中の水分量の影響


こちらは暖房ほど影響は大きくないですが、
肌の乾燥に影響を与える程度には影響力があるので説明します。

冬によく聞く「西高東低の気圧配置」・・・これが原因です。
西高東低については下記サイトで詳細を確認できます。
「西高東低の気圧配置」って?

ウェザーニュース


この気圧配置になると気圧の高い「西側」から気圧の低い「東側」に風が流れます。
このとき日本の西側に到達する風は、日本海で水蒸気を蓄えた状態でやってきます。

冬に日本海側ばかり雪が降って、東側が全然降らないのは
雪雲が山脈を超える前に大量の雪(水分)を放出してしまうからです。
山脈を超えた頃にはカラカラに乾いた空気が日本の東側にやってくるのです。

夏場は南高北低の気圧配置となるので、太平洋側が潤います。

気象庁の2019年の湿度データを見てみました。
積雪の少ない東京と積雪の多い新潟を比較しています。



日本海側の新潟は冬の寒い時期でも湿度が65%以上あり、
肌にとって快適な空気ということが分かります。

逆に東京は50%台まで低下していて、お肌カサカサの空気です。

このように気圧配置と地形の関係で、地域によって乾燥するかしないかは変わるようです。

3. 結論と補足


冬に乾燥すると感じる主な原因は
「暖房によって部屋の相対湿度が低下する」からです。

また、住んでいる地域によって湿度に差があり、
太平洋側は日本海側の地域と比較して低くなります。

その理由は、西側から日本にやってきた湿った空気が、
日本海側の地域に大量の雪(水分)を吐き出し、東側の地域にその空気が到達する頃にはカラカラになっている為です。

次に湿度がらみの補足をします。

3.1 - 窓の結露



Supra NautによるPixabayからの画像

最近の新しい家は問題無いかもしれませんが、窓の結露って結構ひどいですよね。

この結露も飽和水蒸気量の話で説明がつきます。
暖房で部屋が乾燥する現象とは逆の現象が起きています。



室温20℃、湿度65%の部屋があり、外気温が0℃だったとします。
室内に含まれる水蒸気量は
17.3g/m^3 × 65% ÷ 100 = 11.25g/m^3 と計算できます。

同じ室内でも窓付近の空気は、外の空気によって冷やされています。
仮に外と同じ温度:0℃まで冷やされると仮定すると、
その空気が含むことのできる水蒸気量は4.9gとなります。

部屋の中には11.25g/m^3の水蒸気があるのに、窓付近では4.9g/m^3 までしか保持できない為、
11.25 - 4.9 = 6.35g/m^3分の水蒸気が水滴となって窓の表面に生じます。

これが窓に発生する結露現象の正体です。

結露の対策方法としては、
(a)部屋の湿度を下げる・・・除湿
(b)窓を2重ガラスに変える
等が挙げられます。

特に(b)「窓を2重ガラスに変える」は効果的です。
2重の窓に挟まれた空気の層が冷気を遮ってくれる為、内側のガラス付近の空気が冷やされなくなり、結露し難くなります。

3.2 - サウナの熱気




サウナの中に入るとムワっと熱気を感じますよね。
体感的にはものすごくムシムシしてる感じがするのですが、
実際はどれほどのものなのかと気になったので調べました。

下記サイトによると、
サウナの温度は約80℃~100℃、湿度は約10%とのことです。
【いまさら聞けない】サウナの基礎知識知ってますか? 有効活用するための秘訣10選

意外や意外、あんなにムシムシしてるように感じるのに湿度はたった10%らしいです。
湿度が低い為、高温でも火傷しないようです。

熱の伝わりやすさ(熱伝導率)を比較すると、
・水は熱を伝えやすい
・空気は熱を伝えにくい
このような差があります。

湿度が10%とというと、ほとんど空気中に水分が無いということですから、
室温が高くても暑いと感じないわけです。

それでも結構暑い(体感温度60℃くらい)ので、入った瞬間にムワっと感じるのでしょう。
つまるところ、湿度が高そうに感じるのは勘違いです。